学部・附属学校共同研究紀要 37 号
2009-03-31 発行

算数学習における理解過程に関する研究(IX) : 第4学年「面積」における数学的モデルの作成を中心に

Research on the Process of Understanding in Elementary School Mathematics Learning (IX) : focusing on first graders' understanding of subtraction
礒部 年晃
山口 武司
榎野 純
朝川 佳子
阿部 好貴
真野 祐輔
向井 慶子
全文
1.54 MB
AnnEducRes_37_359.pdf
Abstract
本研究は, 算数学習における子どもの理解過程を, 理論的・実証的に解明しようとするものである。数学的概念や原理・法則などを理解するということは, 本質的には, 個々の子どもの心的活動であり, 複雑で力動的な過程であるが, 他方では, 教室で行われる算数学習においては, 子どもの理解過程はその子どもと教師, 子ども同士の社会的相互作用の影響を受けることが明らかになってきている。そこで, 本研究では, 算数学習における理解過程を, これら個人的側面と社会的側面の両方を視野に入れて解明することを目的とする。本研究は, 継続研究の9年次にあたり, 第1年次から第8年次までの研究成果に基づき, 理解過程をより詳細にとらえるための方途として, 児童の考えを数学的モデルに表現させ, それを解釈しあう社会的相互作用の場を設定して研究を進めたものである。具体的には, 小学校第4学年の児童が「面積」の学習において, 多様な複合図形を求積する際, 既習の2つの求積方法から適切な求積方法を選択し, 一般化していくまでの理解過程を実証的に解明したものである。