本研究は, 昨年に引き続き, 教科・科目の最初の段階における授業プランすなわち「授業開き」の授業を, 高等学校社会系教科において開発し, 「導入学習」のさまざまな授業のあり方を提起しようとするものである。
中学校公民的分野と高等学校公民科現代社会は共通点が多くあるが, 後者に至ると, 具体的な資料を用い, 社会科学学の方法論を身につけながら社会的事象を公正にかつ客観的に学んでいくことが求められるようになる。さらに, 「現代を学ぶとはどういうことか」を考え, これを5つの視点というかたちで整理し, 現代社会という科目が持つ特質とこの5つの視点を踏まえて, 小単元開発および授業試案の作成を行った。
「現代の消費生活のあり方」を考えることがいわゆる「現代社会の諸問題」と称される内容を相互に関連させながら学んでいくことにつながるという意図のもと, コンビニエンスストアを教材として取り上げ, これを, 具体的な資料を用い, 社会科学の方法論を意識しながら扱っていく, 「高等学校『現代社会』への扉~コンビニエンスストアから始める社会科学」という小単元を開発し, その授業試案を作成した。