本研究は, 3H美術教育を基に, 協同的創造力を育むという視点での題材開発及び授業実践を通して, 児童生徒の美的感性を高めると同時に豊かなユニバーサルシティズンシップを育成することを目的としたものである。ユニバーサルシティズンシップとは21世紀のグローバル化された社会を他者と協同的に関わり合いながら自己のよりよい生き方を探り求めようとする在り方と捉える。本年度は, 研究最終年次として, 「協同的創造力」が育まれるプロセスや「つけたい力」について, その検証のための授業実践を行っていった。紀要では, 小学校4年生と中学校2年生の実践を中心としてその実践内容, 成果と課題についてまとめた。
成果としては, 図画工作・美術科における協同的創造力の育成のためのプロセスを構築し, それに基づいて題材を開発・実践することができた。課題としては, 協同的創造力の育成を図るためには, 今後, 個人制作の題材と共同制作の題材を年間指導計画の中にバランスよく, 系統性をもたせて配列, 実施する必要性がある。