学部・附属学校共同研究紀要 37 号
2009-03-31 発行

創造性を育む理科の授業

A Study of Science Teaching to Develop Student's Creative Skills
鳥越 兼治
有田 正志
小川 麻貴
白神 聖也
全文
2.03 MB
AnnEducRes_37_139.pdf
Abstract
理科教育における創造性の育成については, 従来からその重要性が指摘されているが, どのようにすれば学習者の創造性を育むことができるのかといった, 学習指導における具体的な内容についての検討はほとんど進められていない。そこで, 本研究では, 生徒が創造性を育むことのできる理科学習の実現を目指して, 教材開発と教育実践を行った。小学校では「振り子」を題材に, 条件制御に力点を置いた授業実践を行った。どのような条件をどのように制御するのか, グループ内での他者との差異を互いに話し合う場面を取り入れた実践になった。中学校では「中和反応」を取り上げ, 「中和とはどのような反応が起こっているのだろう」という課題に対し, 「共同的な学び」を通じてグループで意見交換しながら, イオンモデルを用いて酸とアルカリが互いに性質を打ち消しあう反応を説明することができた。高等学校では, 身近な「音」がテーマであったため, 普段よりも一人ひとりが積極的に自分自身の考えを表現できたことで, 他者の意見を聞く機会が増えた。つまり, 他者の別の意見を認識できる実践になった。