生活者の食品の機能性に対する関心は高い一方で, 食情報に対する理解不足が原因となり健康被害が生じた事例も報告されている。家庭科では, このような現状を食生活の問題として捉え, 問題解決的な思考を通してよりよい食生活を営む実践的な態度を養う必要がある。これまで申請者らは, 平成19年度と20年度の学部・附属学校共同研究において, 学習者の食情報に対する主体的な判断を促すことをねらいとして家庭科の授業設計を行った。本研究では, 食情報について考える授業を設計するにあたり, 食品の機能性に関する情報の信頼性を考える活動と, 家庭科の学習内容を家族に伝えることをイメージさせる活動を取り入れた。授業を通じて, 生徒に食情報の信頼性を判断する意識が生まれていた。学習内容を家族に伝達することをイメージする活動については, 多くの生徒が多様な気付きをみせた。今後の課題として, 生徒が実際に家族に学習内容を伝え交流を行うための工夫, 生徒に家族の食生活の問題を気付かせるための指導が必要であると考えられた。今後は食情報を対象として, 他分野や他教科との連携, 家族との連携を意図した授業の設計・実践をめざしたい。