本研究の目的は, (1)エネルギーに関する科学読み物を読むだけの場合と科学読み物の講読に加えて, 内容に関する製作活動を行った場合, 子どものエネルギー理解に相違が生ずるのかどうか, (2)エネルギーに関する科学読み物を講読し, 製作活動を行った場合と, さらに製作物を用いて実験を行った場合, 子どものエネルギー理解に相違が生ずるのかどうか, を検証することであった。科学読み物に関連する諸活動によるエネルギー理解への効果を検証するために, 2009(平成21)年12月2日~ 17日, 広島大学附属小学校1部3年39名及び2部3年38名の児童を対象として研究授業を実施し, アンケート調査を3回実施した。その結果, 研究(1)については, 科学読み物の講読だけでなく, 風のエネルギーに関連した製作活動を行わせることによって, 「風の吹く理由」や「風のエネルギーの生活利用」などに関する児童の理解が進んだことが明らかになった。研究(2)については, 科学読み物講読後, 製作した風車を用いた実験活動が先の2項目だけでなく, 「風のエネルギーの電気エネルギーへの変換」に関する理解や「風のエネルギーを利用したおもちゃ製作」の構想に良い影響を与えたことが明らかになった。