本研究では, 児童・生徒が創造性を育むことのできる理科学習の実現を目指して, 昨年度より, 教材開発と教育実践を行っている。今年度, 小学校の実践では, 新学習指導要領において, 科学の基本的な見方や概念の柱の一つである「エネルギー」に視点を当て, 「流れる水のはたらき」を題材に, 「水」を科学的なエネルギーの視点から捉えさせる授業を展開した。中学校の実践では, 新学習指導要領に追加された内容である「無脊椎動物の仲間と進化」を取り上げ, 「協同学習」を通して, ミミズ(環形動物)のからだのつくりに関する課題を解決するための新しい観察・実験の方法を確立させる探究活動を展開した。高等学校の実践では, 「酸と塩基」の発展的内容である「電導度滴定」をテーマとして, 「協調学習」の手法を取り入れた探究活動を展開した。いずれの実践も, 観察・実験方法の計画, 結果の分析や解釈, 表現など, 授業の様々な場面に「他者との差異を認識させる」活動を取り入れ, 「言語活動」が活発に行わせることで, 児童・生徒の思考を触発することができた。その結果, それぞれにおいて「創造的である」と判断できる事例を得ることができた。