学部・附属学校共同研究紀要 38 号
2010-03-31 発行

幼・小連携の音楽カリキュラム開発の基礎的研究(3) : 斉唱時における子どもの歌唱能力の発達に着目して

A Basic Study of the Development of the Transition Curriculum in Music Education from Preschool to Elementary School (3) : Focusing on the development of children's unison singing ability.
大橋 美代子
青原 栄子
吉原 智惠美
井上 由子
坪田 志保
山中 覚美
東 加奈子
宮谷 智子
全文
1.88 MB
AnnEducRes_38_87.pdf
Abstract
本研究は, 一斉歌唱時の子どもの歌唱能力の実態と発達の様相に着目し, 伴奏の有無や, イヤホンで自分の声を聴きながら歌うか否かなど, 伴奏やフィードバックの条件を変えて斉唱することによって, 子どもの歌唱がどのように変化するかを明らかにすることを目的とした。対象は, 小学校1年生から6年生である。その結果, 以下のことが明らかとなった。第1に, イヤホンで自分の声を聴きながら歌唱する方が, 正確な音高で歌えるということである。第2に, イヤホンをつけない条件において, 低学年では伴奏があった方が正確な音高で歌えるが, 高学年では伴奏がない方が正確な音高で歌えるということである。一方, イヤホンをつけた条件においては, 総じて伴奏がない方が正確な音高で歌えることがわかった。第3に, 「もっと大きく元気に歌って」という教師の教示は, 低学年ではどなり声の歌唱につながり, 正確な音高で歌うことの妨げになるということである。「もっと大きく元気に歌って」は, 幼稚園や小学校での歌唱指導で頻繁に聞かれる教師の言葉かけである。今回調査を行った小学校においては, 高学年ではこの言葉かけにも関わらず, 発声の仕方や正確な音高には変化はなかった。