本研究の目的は, 児童の性別, 主要5因子説に基づく性格, 国際理解に関する経験(海外旅行経験, 英会話教室, 外国人の友人・親戚・教員の有無)が小学校国際理解教育における国際交流学習の効果に, どのように影響するのかを実証的に明らかにすることであった。研究の結果, 小学校5年生(75名)では, 国際理解に関する興味・関心は「外国語」「異文化体験」「地球的課題」「国際交流」への関心の4因子から構成されていれており,国際交流学習の結果, 「外国語」及び「国際交流」への関心が事前と事後では有意に高まったことがわかった。また, 性差及び事前・事後で2要因の分散分析を行った結果, 女子は男子に比べて「外国語」への関心が有意に高い傾向を示したが, 女子と男子の両方で「国際交流」への関心が高まっていた。児童の性格のうち協調性や情緒性とも効果は関連を示していることから, 国際交流学習を進める授業者は児童の特性を十分に理解した上で計画を立てる必要性があることが示唆された。さらに,外国人友人の有無と事前・事後で2要因の分散分析を行った結果, 「外国語」への関心で交互作用が見出され, 外国人の友人を持たない児童で主効果が見られた。