近年, 雇用情勢が悪化している。障害のある人々の解雇率も非常に高くなった。このような情勢に対応するため, 障害のある子どもについては, 就職のための準備を前期中等教育におけるキャリア教育の中でも実施する必要があると考えた。広島大学の「障がい者雇用推進室」の仕組みを説明し, 広島大学の法定雇用率の達成に向け, 附属東雲中学校特別支援学級の生徒によるキャリア教育の必要性を述べ, 大学キャンパスでキャリア教育を実施する意義を説明した。そして, 所属する大学を知るための事前授業, 大学見学, 大学キャンパスでのキャリア教育(職業体験実習)を行った。実習は図書館業務(広島大学中央図書館でのタルトテープ貼りと本の乱れ直し), 清掃業務(教育学部棟の廊下・階段の清掃, 自転車置き場の整理, ゴミ収集それに廃紙の分別)であった。生徒の実習の様子をジョブコーチ(職業適応援助者)が評価し, 職業適応という観点からの意見を特別支援学級の授業の中に取り入れた。大学でのキャリア教育によって, 生徒の職業観や就労意識の高まりがみられた。更に後期中等教育や「障がい者雇用推進室」との連携, 大学への雇用の可能性についても考察した。