世界遺産宮島には文化遺産だけでなく, 豊かな自然や日本の近代化にかかわった遺産が多数存在する。また, 広島大学には理学研究科附属宮島自然植物実験所をはじめとする多くの教育・研究資産が存在する。本研究では, 附属学校における教育効果を高めるため, これらのリソースを利用した野外教育実践を行った。本物に実際に触れさせることで, 理科離れを防ぐ効果も期待できる。テキストとして「宮島の植物と自然」を利用し, 宮島で開催された野外観察会へ希望者を募って参加させるとともに, 室浜砲台などの歴史遺産について現地を訪れて見学した。一方, 当初の計画にあった東広島キャンパスの理学研究科生物科学専攻での現代の生物学に関する講演や, 植物生態実験園での生態系に関する話, 東広島天文台での宇宙に関する話については新型インフルエンザのため今年度は中止となった。実施後の理解をみるため, 参加した生徒に感想文として報告させた。いずれも日頃直接体験のできない内容で児童・生徒にとって感動が大きく, 実物を体験させることで非常に大きな教育効果が得られた。今回の結果を発展させるため, 来年度以降も同様の企画を継続して実施する予定である。