主体的に社会事象を考察し, 問題解決方法などを考えていくためには, 物事をより客観的に理解し, 把握することが求められる。そのために必要なスキルとして, 批判的思考力が挙げられる。そこで, 社会系教科を通じて論理的な探求法および推論の方法を習得し, それらの方法を適用する技術を身につけ, 批判的思考力を育成する授業を, 高等学校の社会系教科を事例に開発する。本稿では, 公民科「倫理」に関する授業開発を行う。
公民科「倫理」で主に扱われる先哲の思想を学ぶことは, 様々な人間観・世界観を学ぶということである。先哲の思想の背景にあるこの人間観・世界観につながる問いを投げかけることによって, 生徒自身が自らの人間観・世界観を構築することにもつながるとともに, 先哲の思想自体を相対化することもできる。この人間観などの条件を問い直すことは, 先哲の思想の根幹を問い直すことにつながるから, これはまさに批判的思考そのものだと考えられる。
このような立場で, 公民科「倫理」の授業構成について考察し, 学習指導案「親鸞 -信仰とは何かを考える-」を作成した。