家庭科の問題解決的な学習の展開において, 課題設定を学習者自身で行うことの困難さが指摘されている。本研究では, 生活課題を見いだすための指導方法の課題を追究し, 高等学校「家庭基礎」の生活設計の学習内容の中で, 生徒にとって身近であり日常生活で利用することの多いコンビニを題材に取り上げ, 自己のよりよい生活, 将来像をイメージし, 現在の生活課題と結びつけて学習できる授業を提案し効果を検証した。その結果, 授業後には個人の生活だけでなく, 社会との関わりに対する意識が広がり, 健康管理や生活リズムの確立などの意識が高まっていた。また, コンビニ題材の学習やKJ法によって思考を整理することを通して, 生活に必要な様々な能力を想起し, 自己の生活と向き合い, 多様な生活課題を見出していることが見て取れた。生徒の自己評価は全体として高かった。さらに, 学習を実生活に生かそうとする意欲が高まったことは, 生活課題を見出す授業として効果があったものと考える。