目的: 生活が大きく変化することが予測される中学生の運動部引退前後の時期に着目し, 摂取エネルギーと運動によるエネルギー消費量のバランスの実態と生徒の認識を調査し, 食育の課題を検討した。
研究方法: 運動部に所属する中学2年生を対象とし, 部活動引退前後の体格や摂取エネルギーと運動によるエネルギー消費量のバランスの一週間の実態と生徒の認識を調査した。
結果・考察: 運動部引退後は摂取カロリーを「多い」と認識し, 体力の低下や睡眠の状態など運動量が減ったことに対する身体の変化に気づいていた。自分の実際の摂取カロリーを, 具体的に知る機会はなく, 生徒にとって自分の食事と摂取カロリー, および運動量との関係に関する認識は難しかった。成人期に適正体重を維持し, 安寧に暮らしていくためには, 食事の内容から運動量と食事をつなぐ「カロリー」という数値の仕組みを, 自分の食事を通じて具体的に理解しておく必要がある。生徒は, "食事からわかることに対する驚き" "食を意識し" "数値や課題から学ぶ"ことができた。調査での体験は, 食の自己管理に役立つと考えられた。すべての中学生がこのような機会を得るためには方法の簡便化が望まれる。