本研究の目的は, 表現や鑑賞の活動を通して, 他者とかかわりながら, 生涯を通じて創造的に生きるために必要な美意識を育むために, 発達段階に応じたポートフォリオ評価法の活用や, 新タキソノミーを参考にした評価指標の作成を基にした実践研究を行うものである。題材開発においては, 創造的思考力を育む学習過程を意識し, 実践を積み重ねた。また, 昨年度より引き続いてポートフォリオ評価法を取り入れて児童・生徒が自己の学習を振り返ったり, 学習を進めていくのに活用したりできるように指導を行った。
指導後のアンケート結果より, 自己の作品の良さに気づきながらも, 同時に不十分な部分にも気づいている児童・生徒が増えたことがわかった。このことから児童・生徒が自己肯定観を持つとともに, 客観的に自己を見つめ直しているという示唆を得た。今後は, 本年度作成したタキソノミーテーブルを基に, 題材ごとに具体的な目標を設定し評価の充実を図るとともに児童・生徒の変容の分析を継続し, 美意識を育む指導のあり方を追究していく。