2012年から全面実施される中学校新学習指導要領技術・家庭, 家庭分野では, 浴衣など和服について調べたり着用するなどして, 衣生活文化に関心をもたせたり, 和服の基本的な着装を扱うことが有効な手だてとなり得ることが述べられている。そこで本研究では, 衣生活題材における製作教材をカジュアルベストから甚平に代えて, 衣生活文化に着目した題材を提案した。本題材は広島大学附属三原中学校にて平成22年度中学3年生を対象として行った。指導にあたっては, 幅広く衣生活に関心を持ち, 学んだことを生かせるように, 個性に応じた着装の工夫という視点に加え, 甚平をなぜ作るか, どのように作るか, どう活用するかの道筋を示し, 課題を解決しながら学ばせた。また和服についての調べ学習を行わせ, 身近な衣服や技術が我が国の伝統や文化の中で受け継がれていることに気付かせることをねらった。その結果, 甚平製作を通して, 生徒は和服の特徴や衣生活文化について多くの気付きを示した。このことから, 甚平製作が衣生活文化の題材として有意義であることが示唆された。しかし実習時間の不足という課題も改めて認識できた。