学部・附属学校共同研究紀要 40 号
2012-03-26 発行

新学習指導要領の下での授業実践 : 伝統的な言語文化の学習における小・中・高の連関について(1)

Classes based on the new course of study : On coordination of the curriculum among elementary, junior and senior high schools in learning traditional linguistic culture
松本 小百合
全文
602 KB
AnnEducRes_40_171.pdf
Abstract
新学習指導要領では,「伝統的な言語文化」の学習が強調されており,既に小学校では導入され,中学校は24年度から実施となる。小・中・高を見通した,新たな視点をもった指導のあり方はどう考えていくべきなのか。①新学習指導要領 ②児童・生徒の意識調査(アンケート)③教科書教材をもとに分析・検討した。新学習指導要領からは,中学校での「触れる」→「楽しむ」→「親しむ」の段階性,中3から「書くこと」が取り上げられ,スピーチやディベートといった活動や創作などへの広がりが示唆されていた。アンケートでは,小学校から中学校高学年にかけて古典嫌いが増えているのに,高校では好きの割合が増え,古典を必要と思う割合も増える。これは,より古典作品に深く触れて,そのおもしろさを味わうことができたという理由と,進級,受験といった意味での必要性もあるからだと判断できる。人間の内面や生きる姿などに踏み込む授業が大切だということがわかった。教科書教材では,教材の重なりをどうしていくのか,新しい試みとして古典の冒頭集や古典文法を取り上げたり,古典についての説明文,解説文などと組み合わせた発展学習が取り入れられていた。より魅力的な新教材の開発も望まれる。