本研究は,子どもたちが運動の仕方が「わかる」こと,運動技能をのばし「できる」ようになること,さらに,学習したことを「いかす」ことで学びを広げ,運動に親しむと共に,その楽しさを味わうことができるようにするため,ボール運動における「ゴール型ゲーム」に着目し,授業研究を行ったものである。特に,ゴール型ゲームに必要な能力を空間認知力(ゲーム場面において自分がおかれている状況を的確に分析して把握し,適切な動きかを瞬時に決定する能力)と設定した。子どもたちはパスを回して相手コートにボールを運んだり,ノーマークでシュートをしたりできる有効な空間に気づいたりして,それを生かした作戦や動き方について考え,理解することができるようになった。研究を進めていく中で,「空間認知力」はボールを持っているときと持っていないときの両方に必要な力であること,また,「空間認知力」を発揮するには,合わせてボール操作技能も段階を追って育成していかなければならないということが明らかになった。