本研究は,中学校国語科において「確かな学力」の育成のため,さまざまな他者の言葉を「受け止め」ることでその中から課題を見つけ,「考え」て言葉を吟味し「表現する」サイクルを通した指導の在り方を明らかにしていく。ここでの「他者の言葉」とは,目に見える他の学習者や教師の言葉だけでなく,さまざまな文章そのもの,またテキストの筆者や過去の自分などの言葉をも含む幅広い概念である。
今年度は「竹取物語」や「おくのほそ道」といった古文を教材とし,現代に生きる生徒たちにはイメージしにくい昔の世界について,さまざまな他者の言葉に触れさせる・比較させるなどという形で「受け止め」させることにより,生徒が深く「考え」て「読むこと」ができたのではないかと考えられる。