本研究は,授業において算数を学習していく際の創造性に焦点を当て,その育成のあり方を理論的・実践的に解明しようとするものである。本研究では,複数の事柄を関連づけて新しいものをつくりだすはたらきを創造性ととらえる。そして,とりわけ,算数学習において,子どもたちにとって新しく,妥当性や普遍性をもつものがつくられていく思考過程に着目している。そのため本研究は,子どもの思考過程を,個人的側面と対話活動を中心とした社会的側面の両面を視野に入れて研究し,これからの算数教育における創造性の育成のあり方に対する示唆を導出しようとするものである。
本年度は,昨年度の理論的研究で明らかになったことに基づいて,実践的研究を中心に行った。また,昨年度に引き続いて,算数学習において子どもの創造性がどのように育まれていくかを,授業記録をもとに,明らかにしようとした。