本研究は,新学習指導要領の軸となる基礎的・基本的な知識・技能の習得とともに,生徒が学習意欲を高め,思考・判断・表現する力を育み,生涯にわたって運動に親しむきっかけとなるような砲丸投げの授業のあり方を探るものである。
今回の授業では,遠くに投げることをテーマに,物体が飛ぶときの力学的視点(投射高・投射角度・投射速度)に触れ,重さや形状の違うものを投げながら,「投動作」の技術ポイントや効果的な身体の使い方を探らせた。また,この「投動作」の技術をベースに,砲丸投げの技術や身体の使い方を,自分や友だちの身体を通して思考し,互いにアドバイスして課題を解決することができるようにした。その際,過去3年分の高2女子のスポーツテスト8項目のうち,砲丸投げの記録と相関の高い50m走とハンドボール投げの記録から数式を求め,個々の目標記録を割り出し,各自が目標を持って取り組めるようにした。その結果,生徒は,砲丸投げに意欲的に取り組み,「投動作」から砲丸投げの技術やつながりについて思考を深め,記録を向上させることができた。