学部・附属学校共同研究紀要 40 号
2012-03-26 発行

自覚的に読む力を育成する言語活動の展開

Language activity promoting the development of competence in reading reflectively.
立石 泰之
全文
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AnnEducRes_40_111.pdf
Abstract
言語活動の充実が求められている現在,言語の本質的機能を見失った,言語活動そのものが目的化された問題状況があり,言語活動のあり方を問い直すことが求められている。本研究では一貫して「読みとその変容を自覚化させる」ことを目標としてきたが,この目標の内実としては次の三点を挙げた。①自分の読み(一人読み)が自覚できる。②自らの読みと他者の読みの違いが自覚できる。③自らの読みの変容が自覚できる。これらの目標を達成するための手段として言語活動をとらえ,授業づくりのあり方を実践的に追究した。一貫した目標を掲げつつも,具体的には,物語,戯曲,説明文という様々なジャンルの文章と,低・中・高学年に渡る発達段階を考慮して仮説を立て,計画し,児童の実態に応じて授業実践し,考察した。その成果としては,無意識的につないでいる論理関係を自覚的に認識させたり,登場人物の行動と心情とを自覚的にとらえさせたり,学習者自身と他者との読みの差異や自身の読みの変容を自覚させたりする,具体的な授業のあり方を提案することができた。今後は,自覚化のための手立てや言語活動を,体系化,構造化することを目指し,考究を深めたい。