学部・附属学校共同研究紀要 40 号
2012-03-26 発行

国際的な資質を育成する社会科学習(7) : 思考の再構成を促す授業づくりを通して

Fostering competences in global age through social studies (7) : Focusing on reconstruction of learners' thinking in the class.
安松 洋佳
長野 由知
全文
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AnnEducRes_40_231.pdf
Abstract
国際化や情報化が進展する現代社会においては,他者・多国との価値観の違いを認め,お互いの関係を平和的に形成する資質,すなわち国際的な資質が必要となってくる。そのためには,自分の思考をより科学的なものへと再構成していくことが重要である。子どもたちの思考の再構成を促すために,「①子どもたちの既有の知識・理解を揺さぶる学習内容と発問」「②新しい知識・理解体系を推理させる」「③他者と自分の思考を比較させたり,自分の思考・判断過程を記述させたりする」という方略をもとに単元開発を行った。

今回,「揺さぶり」によって子どもたちの知識や概念に不整合を発生させることで,自分なりの新たな論理の構築を促すことができた。また,子どもの感じ方や捉え方をもとに考えを広げさせ,一人一人が考えをもつことができる直接観察の場の工夫や認知された新たな知識・理解をもとに,自分の考え方を批判的に振り返る活動,そして習得した知識,概念や技能を活用し,探究する活動を通し,社会科学習の基盤となる知識を主体的に獲得したり,子ども自らが公共的な事柄に参画していこうという資質を獲得したりすることにつながる学習を展開することができた。