本研究は,英語科教育実習の充実・改善への示唆を得るため,「①英語科実習生がどのようなbeliefs(言語や言語の指導・学習に関する思い込み)を持っているのか」,「②英語科実習生と現職英語教員との間にbeliefsにおいてどのような差異があるのか」,「③英語科実習生のbeliefsが教育実習を経てどのように変化するのか」の3つを明らかにすることを目的として行った。
先行研究を元に75の質問項目からなる質問紙を作成し,31名の英語科実習生と10名の現職英語教員から5件法で回答を得て分析を行った。①英語科実習生の特徴として,「演繹的な学習より帰納的な学習重視」,「ペア,グループ活動重視」,「コミュニケーション志向」,「形式よりも内容重視」,「文化的側面の重視」,「生徒の誤りに対する寛容的態度」があること,②英語科実習生は現職英語教員に比べて,「文法を軽視していること」,「誤りの訂正に対して消極的であること」,③教育実習前・後で6つの項目で変化が見られたが,「文法指導」,「誤りの訂正」に関する項目での変化は見られなかったこと等が明らかになった。