本研究の目的は,文法指導と書くことの言語活動とをさらに関連付けて,書く能力を育成するための学習指導開発を行い,その成果と課題を明らかにすることである。4技能の能力の中でも,特に書くことに着目し,書く力を養う英語科の教材と学習指導法を開発することをめざした2年次の取り組みである。1年次の課題と生徒の発達段階を考慮しながら,既習事項を用いた書く活動を繰り返し学習することにより,学習指導要領にある「身近な場面における出来事や体験したことなどについて,自分の考えや気持ちなどを書くこと」といった言語活動の充実および定着を図るために,広島大学附属三原中学校1,2年生の学習者を取り上げて研究授業と考察を行った。自分の生活や習慣をテーマにした英文を書いてまとめ,クラスの仲間たちと交流し合うという実践と,物語の要約文を書いて班で校正し,クラス内で交流しあう2つの実践を通して,書くことの言語活動を通した創造的思考力を育成するための学習指導を取り上げることにする。検証の材料は,生徒の授業評価カード,ワークシート,書いた作品,ペアや班活動の様子,授業観察の様子などであり,これらをもとにして考察を行った。