学部・附属学校共同研究紀要 Issue 40
published_at 2012-03-26

森の保育環境と幼児の身のこなしとの関連

A study of the relationship between the childcare environment in woods and the child physical movement.
Ochiai Sayuri
Higiri Keiko
Fujihashi Tomoko
fulltext
1.8 MB
AnnEducRes_40_141.pdf
Abstract
「森で育った子どもたちは,身のこなしがよい。」保育者のこの実感に基づき,森の保育環境で育った子どもとそれ以外の子ども(統制群)の身のこなしのよさを比較した。研究Iでは,体のバランスを保つ力が身のこなしと関連していると考え,重心動揺の大きさを比較した。その結果,森の保育環境でより長い時間を過ごしてきた5歳児において,統制群との間に重心動揺の差がなかったため,森の保育環境が体のバランスを保つ力に及ぼす影響は確認できなかった。研究IIでは,森の保育環境のより長期的な影響を検証するため,森の保育環境のある幼稚園を卒園した小学校1年生とそれ以外の子どもの運動能力を比較した。その結果,複数の種目において森の保育環境で育った子どもの運動能力が統制群よりも高かった。これらの結果から,森の保育環境によっていくつかの運動能力が育まれることが明らかになった。また,それらの運動能力は,重心動揺よりも保育者の感じる身のこなしを表すものに近いことがわかった。