本研究を実践することで,他者の異なる意見に耳を傾け,具体的な根拠を挙げて議論できるようになり,同時に自由や平等,公正さといった基本的価値に留意しつつ,関連する法制度や具体的な問題を理解・評価できるようになると考える。具体的には,昨今の正規社員の減少と非正規社員の増加にともなう社会保障や貧困に関する問題,並びに苛酷な労働環境がもたらす社会問題などについて状況をつかみ,その問題の所在を理解し,労働法を活用しながら,どのようにして社会問題を解決していけばよいのか考えようとすることは,リーガルリテラシーの育成に裏打ちされたリーガルマインドの視点から,国際的資質を育成する上で意義あることだと考える。成果としては,解雇に関する事例から,事実をつかみ,何が問題(労働法違反)なのかを理解できた。また,使用者の解雇に対して,法的にどのように対抗していけばよいのか,労働基準法,労働契約を通して考えることができた。今後は,実践の更なる積み重ねを通じて,生徒がより効果的にリーガルマインドを育てることのできるカリキュラム開発を行っていきたい。