本研究の目的は,水泳領域における小学校と中学校それぞれの授業実践の成果と課題を考察することで,小中の学びがつながる水泳領域のカリキュラムや授業づくりの新たな知見を得ることであった。
小学校6年生の実践では,到達目標を達成するために習熟度別の指導とタブレット型PCを活用して,自分の泳ぎを客観的に見る場面を設定する指導がなされた。8割の児童が到達目標を達成しており,指導の工夫において一定の成果あることが確認された。中学校1年生の実践では,到達目標を達成するためにドル平泳法を取り入れ,ペアやグループで学習する場を設定する指導がなされた。9割の生徒が到達目標を達成した。また,ペアやグループ学習を肯定的に捉える感想が多く,指導の工夫に一定の成果があることが確認された。また,単元のふり返りの記述から,ドル平の学習は水泳の苦手な生徒にとって「水泳が楽しい」と思わせる有効な教材であることが確認できた。