本研究では,中学校・高等学校の数学学習における数学的活動の充実,とりわけグループ学習を活用して言語活動を充実することで,数学的に表現する力を身につけ,数学の本質に迫り,数学の理解を深めるための授業づくりに取り組んだ。そのための方策として,グループに分かれて課題に取り組ませたり,得られた結果をもとに規則性や図形の性質についてグループで話し合わせたり,話し合った内容を発表させるなどの学習指導を行った。授業の観察や生徒の感想の分析から,グループに分かれて作業したり話し合ったりする活動に取り組むことは,言語活動を活発にするのに有効であるが,話し合いのポイントを明確にするなど教師の働きかけがないとうまくいかない事例もあることがわかった。さらに,数学的な思考を深められる課題に取り組ませることは,議論が深まったり理解が進んだりするなど,言語活動も充実することがわかった。これらのことから,数学の本質に迫るには,学習している内容が既習事項とどのようにつながっているのかということを生徒に意識させながら,言語活動も含めた数学的活動を充実させるような指導を行うべきであるという示唆が得られた。