本研究では,グローバル社会に対応した国家・社会の構造を認識する授業を構成するに当たり,本年度はグローバル化する社会を構造的にとらえること,経済のグローバル化に焦点を絞り各附属で授業開発と実践を行った。前者に関しては,先行研究やグローバル化によって生じた社会問題やその要因を整理・分析して考察した結果,既存の社会がグローバル化に伴って社会構造が変容する中で,主に経済・文化・環境面においてその影響が顕在化し社会問題にまで発展していることが分かった。本研究では,既存の社会がグローバル化によって,経済・文化・環境面で様々な課題が表出する社会を「グローバル社会」と規定した。後者に関しては,貿易の自由化による市場の拡大の影響を取り上げ授業化した結果,経済のグローバル化では,いかにアメリカの新自由主義に基づく資本主義経済の枠の中に適合し,標準化を勝ち得るかが鍵となる。そのために企業は,製品開発など,飽くなきイノベーションの追究が必要であることがわかった。今後は,文化・環境面の授業化に取り組みながらグローバル社会の構造を見直す一方,各領域に与えるグローバル化の要因について追究していきたい。