本研究の目的は,次の通りである。(1)広島大学附属幼稚園が実施するSICSの理念に基づく保育カンファレンスは,他の保育園の保育者に対して何をもたらすのかについて検討する。(2)広島大学附属幼稚園と外部の保育者が共に学ぶためのネットワーク構築の在り方について検討する。
本研究では,調査協力者として,A保育園における4名の保育者を対象に,グループ・インタビューを実施した。研究方法として,大谷(2011)による質的データ分析法を用いた。
研究の結果,次の点が見出された。(1)他の保育園の保育者は日頃,子どもの気持ちを理解することに困難を感じていた。(2)そうした保育者にとって,保育カンファレンスは,子どもの気持ちを理解する方法論を提示するとともに,保育観の再発見をもたらした。(3)保育カンファレンスは,外部の保育者と広島大学附属幼稚園の保育者が共に学び合うためのネットワーク構築に寄与していた。