本研究は,中学校終了段階で必要と考えられる「地球科学と資源・エネルギー」をテーマとした科学リテラシー育成のための指導計画を提案するものである。具体的には,テーマに関連して,実社会,実生活と科学技術の関わりについて扱うとともに,これからの持続可能な社会の構築に向けて必要となる資質・能力である「クリティカルシンキング」の育成をねらいとした年間指導計画を作成した。ここで,理科における「クリティカルシンキング」とは,「安易な一般化や偽科学に惑わされることなく,科学的根拠に基づいて,じっくりと考えて判断する能力」とした。作成した年間指導計画は,広島大学附属福山中・高等学校の文部科学省 研究開発学校の指定に伴って設置した新教科「現代への視座」の中の中学校第3学年 新科目「地球科学と資源・エネルギー」として試行し,内容の妥当性を検討してきた。本稿では,その結果と新学習指導要領との関連を考慮し修正を行った指導計画の最終案を提案する。また,特徴的な単元の具体的指導計画を示すとともに,生徒にねらいとする資質・能力が身についたかについて,評価問題の結果分析を通して検討した。