本研究は森の幼稚園の保育環境によって幼児の体力・運動能力が増進されるかどうかを明らかにすることを目的とした。研究1では森の幼稚園の在園児を対象に,MKS幼児運動能力検査を用いて測定を行った。その結果,在園児の体力・運動能力は標準化されたデータの中で大きな偏りを示すことはなかった。研究2では同じ幼稚園の卒園児を対象にして,新体力テストの結果について質問紙調査を行った。その結果,卒園児の体力・運動能力は全国平均を下回ることはなく,対象とした小学校1,2年生の両学年とも,また男女とも,8種目中3種目以上で平均以上であった。これらのことより,同園の保育環境は幼児の体力・運動能力に対してポジティブな効果を持っており,その効果は数年単位の持続性を持つことが示唆された。