本研究は,小学校から中学校入門期に於ける系統的な学習指導の在り方や,中学校卒業時を見通した上での思考力・判断力・表現力の育成を目指した学習カリキュラムの開発を研究したものである。今年度は主に,小学校と中学校との教材の繋がりに視点を置いた,小中を俯瞰する言語活動及び評価の観点を明らかにすることを中心に研究を進めた。その成果として,児童生徒が表現したいことを中心に据え,自己発信できるような体験を重ねることで,自らの「できるようになった姿」を具体的にもち,話し手・聞き手として「どのように」あれば良いかに気付くことが学習活動への動機付けに重要な役割を果たす可能性を示すことができた。さらに,指導のあり方について,英語の持つ特質に関するより明確な理解と,その体験的な習得を図る意図的活動の重要性を改めて指摘することができた。次年度以降も,各単元で児童生徒が他者との関係性を自発的に発展させるコミュニケーション活動の充実を図り,カリキュラムにおける具体的な学習活動の開発と配置を上記の視点から見直していくことが求められる。