本研究では,先行研究や本研究グループによるこれまでの研究成果を踏まえ,生活科におけるクオリア(qualia)としての気付きの状況を構造的に把握し,授業実践との関係を明らかにすることを目的とする。小学校第1学年「からだいっぱいにあきをかんじよう」「あきをたのしもう」「カタツムリとなかよし」,第2学年「つくってあそぼう」の4本の授業実践事例を基に検討した結果,クオリアとしての気付きと授業実践との関係として,①かかわりの深まりがクオリアを豊かにすること,②教師の意図的な働きかけがクオリアに影響すること,③多様な事象・活動の設定がクオリアの幅を拡げること,の3点を示した。今後引き続きいろいろな内容や単元,活動場面においてクオリアとしての気付きの状況を明らかにし,生活科授業構成のための知見の蓄積を進めていきたい。