平成20年度に発表された新しい学習指導要領では,算数科において,事象を数学的に解釈・表現することを重視することがあげられている。従来の算数科の学習においては,知識・技能の定着に着眼することが多かったが,知識・技能をつくり出す過程こそがもっと重視されるべきだという見解に依っている。 本研究は,児童が文章問題を作成する中で,事象を数学的に解釈する力を個別に高めることができるという仮説に基づき研究を進めてきている。 本年度は,研究5年目にあたる。これまでと同様に附属小学校の児童を対象に,基礎的なデータを収集しながら,その効果について分析してきた。また,実際の授業における運用においては,コンピューターを使った個別の活動と合わせて,ソフトウェアに改良を加え,集団学習場面における文章問題の構造に関する気づきを学級全体で明らかにし,個と集団の相互作用を重視した授業過程(教授法)が明らかになってきた。また,一般的に難題と言われる逆思考を促す問題における効果も少しずつではあるが,明らかになってきている。