家庭科教員養成の質を向上させるために,教科教育,教科内容及び教育実習担当者がどのような形で協力,連携できるのか追究するための手がかりを得るために,三者の立場で養成課程の学生の授業構想力の課題を検討することを試みた。題材は中学校における浴衣着装授業とし,浴衣の製作実習を通じて平面構成の知識と技術を学んだ家庭科教員志望の大学生に,100分の学習指導案を作成させた。それらの学習指導案を家庭科教育学担当者,家庭科内容学担当者及び教育実習担当者が,各々の専門の立場から評価した。そしてその評価と考察を通じて,今後の各々の担当授業に対する課題をとらえた。その結果,三者が共通して教材観の深まりや表現に問題があるととらえていることが明らかになった。教材観の構築は,家庭科にかかわらず教職能を向上させていく過程で培われるものであるが, その基盤となる視点をもたせることが必要であり, そのために三者がどのように連携あるいは役割分担することが可能か追究していく必要性が示唆された。また教科教育学と教科内容学の連携だけではなく, 教育実習担当者との情報共有によって,指導の改善に重要な示唆を得られることが明らかになった。