花沢(1979)は、母性理念とは、女性の母性意識に基づく妊娠・分娩・育児への態度と価値観であるとし、伝統的な母親役割に関する「母性意識」を肯定するか否定するかという態度を測定する母性理念質問紙を作成している。花沢の考えに基づけば、「母性理念」の概念構造は1因子構造で、伝統的な母性意識を否定する態度を測る項目は、肯定する態度を測る方向に対する逆転項目として抽出されると考えられる。本研究で、花沢の母性理念質問紙をもとに、因子分析をおこなったところ、花沢が想定した1因子構造ではなく、第1因子「伝統的母親理念」と第2因子「子依存的母親理念」の2因子からなる構造であることが確かめられた。