広島大学心理学研究 7 号
2008-03-31 発行

顔ターゲットに対する視線注意効果

The gaze-triggered attention to face-target
徳永 智子
全文
5.41 MB
HPR_7_35.pdf
Abstract
空間的手がかり課題において、他者の視線を手がかりとして生じる注意のメカニズムは、他の手がかり刺激を用いた場合とは異なると考えられている。本研究では、視線によって生じる注意の特徴を明らかにするため、ターゲットに顔刺激を用いた場合とそうでない場合とで、視線注意効果が異なるかどうかを検討した。ターゲットとして顔刺激と、顔刺激をばらばらにし再度組み合わせたランダム刺激を用い、実験1では実験参加者16名に位置判断課題を、実験2では実験参加者19名に識別課題をそれぞれ行わせた。その結果、実験1ではターゲットの種類と視線手がかり効果の交互作用はなかったが、実験2ではターゲットの種類によって視線手がかり効果の現れ方が異なった。この交互作用は、ターゲットが顔刺激の場合には注意効果があるが、ランダム刺激の場合には注意効果がないというものであった。この結果から、視線手がかりによって生じた注意は、顔刺激に対して識別判断を行う場合には、識別処理を促進する効果があることが示唆された。
著者キーワード
視線
注意
顔認知