本研究では、ポスト子育て期女性のアイデンティティ再体制化のプロセスを検討することを目的とした。研究Iでは、数量的尺度を用いて、アイデンティティ変容の特徴を分析し、研究IIでは、半構造化面接によって、アイデンティティ変容のプロセスを検討した。その結果、子どもの成長とともに巣立ちを母親自身が認識することが、アイデンティティ変容に影響を及ぼし、巣立ちの進行と同時に自己の問い直しと模索が進んでいくことが明らかとなった。また、子どもの巣立ちに対する空虚感の程度には、母子分離の作業を行う時期が影響することが示唆された。