単項目あるいは少数項目の尺度で測定したAIDSに関する主観的知識、関心、恐怖感情がHIV対処行動意思に及ぼす影響過程を検討した。質問紙調査を実施し、大学生239名から有効回答を得た。第1に、AIDS、0-STD(AIDS以外の性感染症)、避妊の3側面から、知識、関心、恐怖感情がHIV感染予防目的でのコンドーム使用行動意思に及ぼす影響を説明する「コンドーム使用目的-行動意思対応モデル」を提案した。このモデルの適合度は低く、有効でないと判断されたが、複数のコンドーム使用目的を考慮した、HIV感染予防目的でのコンドーム使用行動意思の研究の必要性が示唆された。第2に、集合的防護動機モデルの枠組みを利用して、知識、関心、恐怖感情がHIV対処行動意思と不適応的対処に及ぼす影響を説明する「HIV対処-不適応対処並行モデル」を提案した。その結果、不適応対処を最終変数とすることは有効でないが、HIV対処行動意思を最終変数とする場合には、モデルはある程度有効であることが判明した。