本研究は、エイズ教育用印刷教材である日本学校保健会(2003)のパンフレット「AIDS 正しい理解のために高校生用エイズ教育教材」の効果を分析することを目的とした。実験計画は、1要因2水準の実験参加者間計画であり、本質的には事後測定法であった。すなわち、実験群は、パンフレットを読みながら、また読んだ後に質問紙に回答し、統制群は、パンフレットを読まずに、質問紙に回答した。115名の大学生の実験参加者は、実験群と統制群のどちらかに無作為に配置された。統制群における従属変数の分析から、ベースラインである初期反応には、36変数中23変数に性差が存在することが見出された。実験群と統制群の間には、35変数中5変数にのみ有意差が見られ、パンフレットの効果は限定されることが分かった。なお、パンフレットの効果に関する性差も顕著でなかった。