本研究では、重症心身障害児の母親における障害に対する捉え方と子どもの死に対する意識との関係について検討を行うことを目的とし、20名の対象者に半構造化面接を行った。子どもの死に対する意識に関して対象者を6様態に類型化し、各様態における子どもの障害に対する語りの特徴を比較検討した結果、障害に対する捉え方と子どもの死に対する意識との関係を明らかにするにあたって、障害に対する意味づけの深さ、障害児を捉える視野の広さ、という2つの観点からの理解が有効であることが示唆された。母親が自己の死後に母親のいない世界で子どもが生きていくという事態を受け入れるためには、障害児であるわが子が"他者から与えられる存在"であるばかりでなく、"他者へ与える存在"であるという認識を持つこと、さらに、障害をもつわが子の価値が自己や家族との関係の中だけでなく、社会において見出されることが重要であると考えられる。