本研究では、青年の未来展望の形成とそれに影響を与えると考えられる信頼感の基盤としての重要な他者との関係を明らかにすることを試みた。研究Iでは数量的分析によって、将来への希望は自己への信頼と、将来目標は他者への信頼と相関が高いことが明らかとなった。研究IIでは、研究Iで得られた知見に基づき半構造化面接を行い、循環の形を示す青年の未来展望の形成プロセスが見出された。また、重要な他者との関係を分析したところ、未来展望の土台としての信頼感が示され、未来展望の形成には、モデルとなる他者との出会いを契機として、その他者との関係に自分なりの意味づけを行っていくことが重要であることが示唆された。