広島大学大学院教育学研究科附属教育実践総合センターでは, 学習支援を実践するための学生の力量形成と, 地域の小学生に対する学習支援サービスの提供に取り組んでいる。本研究では, 平成22年度前期・後期の学習支援プログラムに参加した大学生を対象に, 学習支援プログラムが大学生の力量形成に及ぼす効果について検討した。実際に学習支援を行った担当群のべ36名とそれを観察した観察群のべ34名に, 学習支援プログラムの開始前と終了後に, 質問紙による集合調査を行った。調査時期(開始前・終了後)と群(担当群・観察群)を独立変数とし, 力量および教育・教職への態度を従属変数とした2要因分散分析を行った。その結果, 力量の「アセスメント」「知識の保有」「指導技術」に時期の主効果が確認され, 学習支援プログラムを通してこれらの力量が形成されたことが示唆された。また, 「保護者との関係」に群の主効果が確認され, 観察群に比べて担当群は, 保護者との良好な関係が形成できていることが示唆された。