広島大学心理学研究 10 号
2011-03-31 発行

大学生の約束意識と規範的態度 <論文>

Predictions about self-behavior concerning promises and attitude for social rules in university students
牧 亮太
宮木 景子
全文
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HPR_10_81.pdf
Abstract
本研究では, 大学生を対象とした質問紙調査を実施し, 大学生における約束の捉え方, および約束の捉え方と規範的態度との関連について検討した。性別, 理由の正当性, 拘束性の強さ, 欲求の強さを要因とした分散分析の結果, 男性よりも女性のほうが, 約束を破棄する理由が自己中心的なほうが, 拘束性が強いほうが, 約束に対する欲求が強いほうが, 約束を守ろうとする意識(約束意識)は高くなることが明らかになった。さらに, 約束を破棄した際に他者に迷惑をかけることが明らかな場合には, 約束意識が強いことも示された。また, 約束意識と規範的態度の関連において, 男子大学生の場合, 状況に依存した約束意識をもつ人ほど規範的態度がよいという結果が得られた。これは発達とともに道徳規範・社会規範を自律的に捉えるようになるという認知発達理論を支持するものであった。現代の若者における規範意識の低下問題を考えるうえで, 約束・規範の捉え方に着目することの有効性が示唆されるとともに, 今後は, 他者へ及ぼす影響が不確実な約束に関する意識を検討することの必要性が示唆された。
著者キーワード
約束意識
規範的態度
大学生
道徳