広島大学心理学研究 10 号
2011-03-31 発行

浄土真宗僧侶の宗教活動が門徒のメンタルヘルスに果たす役割 <論文>

The roles of mental health for "Monto" (a believer in Buddhism) in Shin-Buddhism priest's religious activity
武田 正文
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Abstract
本研究は, 浄土真宗僧侶の活動における意識と実態及び関わりの特徴を調査することによって, 宗教活動が門徒のメンタルヘルスに果たす役割について明らかにすることを目的とした。調査においては僧侶を対象とした半構造化面接とアンケート用紙を用いて行った。その結果, 僧侶は宗教活動を重要と認識している一方で, 具体的な危機的状況における関わりの頻度は低かった。このように僧侶の意識と活動実態の間に相違がみられた。僧侶の関わりは「仏教に触れる機会」として「聴聞を勧め」, 「命の大切さ」及び「無常」を知るという特徴がみられた。宗教活動では, 悲しみの場や自分を振り返る場として「非日常の場の提供」がなされているが, 危機状況では「話を聞く」ことを中心に, 門徒の家族の死に対して浄土でまた会えるという「宗教的意味づけ」によって死の受容を促していることが明らかとなった。
著者キーワード
浄土真宗
メンタルヘルス
宗教活動