広島大学心理学研究 10 号
2011-03-31 発行

虚偽説得に及ぼす説得者の虚偽意図に関する事前警告と事後警告の効果 <論文>

Effects of forewarning and afterwarning regarding persuader's deceptive intent on deceptive persuasion
塚脇 涼太
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Abstract
本研究では、詐欺の一種である架空請求を虚偽説得として利用した。そして、虚偽説得メッセージ(架空請求ハガキ)を実験参加者に提示する前あるいは/かつ後に、説得者の虚偽意図に関する警告を提示し、説得に及ぼす警告の効果を測定した。実験計画は、警告要因(単独事前警告、単独事後警告、二重事前事後警告、無警告)の1要因実験参加者間計画であったが、実質的には2×2の2要因実験参加者間計画であった。従属変数の測定には、事後測定法を用いた。1要因分散分析の結果、単独事前警告と単独事後警告が連絡行動意思を抑制することが示された。2要因分散分析の結果、事後警告が無い場合には、事前警告が連絡行動意思を抑制することが、また、事前警告が無い場合には、事後警告が連絡行動意思を抑制することが示された。そして、共分散構造分析の結果、事後警告は否定的思考を増加させ、否定的思考の増加が連絡行動意思と振込行動意思を抑制することが示された。説得者の虚偽意図に関する事後警告は、否定的思考の増加を媒介にして、説得抑制効果をもつことが解明された。
著者キーワード
虚偽説得
事前警告
事後警告
虚偽説得意図
説得抑制効果