本研究では, 説明的な文章の産出過程において, 文章の作成過程を計画し, モニターし, 適切にコントロールするために用いられるメタ認知的知識の構造を調べた。手続きは, 﨑濱(2003)を改変したものを用いた。まず, 大学生を参加者として, 実際に説明文を書かせた直後にどのようなことに注意して書いたかを回想させ, 方略リストを作成した。調査1として, 実際に説明文を作成させた直後に各方略の使用の程度の評定を求め, その値に因子分析を施すことによってメタ認知的知識の構造を調べた。その結果, 﨑濱(2003)と同様の「表記・表現の容易性」, 「流れやまとまりに対する配慮」「読み手の興味・関心への配慮」の3因子に加え, 「具体性」「説明すべきものの先行提示」の2因子が新たに見いだされた。調査2では, 調査1で方略の使用の程度の高かった参加者と低かった参加者が産出した説明文を, 調査1とは異なる参加者に提示して, 説明文としての良さの順位付け等を求めた。その結果, 方略の使用と産出された文章の評価との間に対応が見られ, 方略リストの妥当性が示唆された。今後は, この尺度によって, 説明的文章の指導や指導方法の開発研究を行うことができると考えられる。