心理的居場所とは「心の拠り所となる関係性, および, 安心感があり, ありのままの自分を受容される場」(則定, 2008)である。本研究では, 青年期を対象に発達に伴いどのような心理的居場所を持ってきたかについて調査し, 心理社会的発達の視点から検討することを目的とした。研究1では, 質問紙調査を行い, 重要な他者に対する心理的居場所感と心理社会的発達課題の達成の関連について数量的に検討した。研究2では, 半構造化面接を行い, 青年が発達に伴ってどのような心理的居場所を持ってきたかについて, 質的に検討した。その結果, 1)母親に対する心理的居場所感が心理的居場所の広がりや心理社会的発達課題の達成において重要であること, 2)母親に対する心理的居場所感が高い青年では, 幼児期から複数の心理的居場所が見られるのに対し, 母親に対する心理的居場所感の低い青年では児童期までほとんど心理的居場所がなく, 思春期以降, 友人や恋人が心理的居場所として機能するようになることが示唆された。